リリースの控えたResident Evil 3(バイオハザード3)リメイク版ですが、PC版に対してDenuvoが搭載される見込みであることが発覚しました。
Denuvoとは?
包括的なゲームガードシステムのこと。
上記リンクで、バイオ3が一覧に含まれていることを確認出来ます。
しかしそもそも当記事タイトルの、カクつきやロード時間とこれらがどう関与するのか?
実は、おおいに関わりのある事柄なのです。
Denuvoはフレームレートやロード時間に悪影響を及ぼすのか?

DenuvoはサードパーティーのDRM(デジタル著作権管理)保護システムであり、ゲームの不正な海賊版の流出や、アンチチートを行う最強のツールであると自負しています。
またDenuvoセールスディレクターのElmar Fischer氏いわく、これらを行うにあたってゲームのパフォーマンスダウンはいっさい見られない、とのこと。
基本的にBF4などで使われたPBBansやGGCのようなオートバンではなく、パブリッシャーへの通報システムにとどまるのが特徴。
あくまで通知を受けたメーカーが、疑わしきプレイヤーへ対して手動/自動で裁量を下すことになります。
フレームレートやロード時間に影響は無い、とする検証もある
Durante氏によるFFXVの検証によると、Denuvoを搭載されたゲームと海賊版のパフォーマンス差は、5~6%程度にとどまるとされています。
完全に同一の条件下ではないにしろ、仮にこの検証結果が正確であるならば、フレームレートやロード時間の懸念はほぼ皆無と言って差し支えないでしょう。
一方、反証も
Overload Gamingによる6種類のゲームの比較動画です。
これによればロード時間で10秒以上、フレームレートに至っては130%もの差がつく場合を示唆しています。
実際にDishonored 2では、パフォーマンスアップのためにBethesdaがDenuvoをゲームから削除するパッチを配信することになりました。
コチラはBatman: Arkhamの比較動画。
このゲームなんと、Epic Gamesストア版にはDenuvoが搭載されず、Steam版には搭載されているという変わった状況なのです。
よって海賊版ではなく、どちらも正規版同士のフェアな条件下。結果は、冒頭の数秒ではっきりと目に見えます。
サーバーエラーでゲームがプレイ不可になる

Denuvoの最大の弱点が、バックグラウンドでのサーバー通信になります。
デジタル著作権の保護のために、オフラインのゲームであっても定期的にDenuvo社とのデータ送受信は必須となります。
しかし仮に、Denuvoのサーバーがエラーを起こしたら?
実際のところ、数年前にはBatman: Arkham Knightを含む数種類のタイトルが一斉にプレイ不可になった時期がありました。
これはのちに、サーバートラブルが原因であったと明かされています。
基本的にデメリットが多い

以上から、ゲームに対してデメリットの多いシステムであることは明らかです。
しかしなぜこのようなシステムをいくつものゲーム、更にはバイオハザード3が搭載することになったのか?
もちろんDenuvoは無料などではなく、メーカーは報酬を支払ってこれらを搭載しているのです。
その理由はクラッキングによる海賊版の流出や、チートツールによるマルチプレイ破壊が、我々が思うよりも深刻だからです。
クラッカー・ハッカーによる被害

ゲームクリエイターの大敵である、海賊版の流出。
明確な数値は掴めないものの、メーカーはゲームの売り上げの多くが海賊版によって掠め取られていると感じていることは間違いなさそうです。
それこそが、Denuvoを導入する最大の理由でしょうから。
海賊版は正規版の売り上げに影響しない?
一方で、面白い見解も成されています。
欧州委員会の調べでは、海賊版によってむしろ正規版の売り上げが促進されるとのこと。
しかしこのあたりは地域差が大きいと見られ、欧州では近年、海賊版の使用者が減少傾向にあるという調査結果が明らかになっています。
欧州ではネットリテラシーへの意識が高まりつつあり、
個々人がクリエイターへのリスペクトを掲げたり、或いは単純に海賊版はカッコ悪いという、モラルを前面にした意見が多いようです。
知能指数と海賊版の使用率に関連性?
上記は知能指数と海賊版使用率の相関図。
今やゲームはグローバルなものとして、数種類以上のローカライズをされるのが当然と言える状況。
こうした結果を元に、各メーカーはDenuvoによる対策を打ち出したと思われます。
Denuvoはゲームをガード出来るのか?
Denuvoによるコピーガードはクラッカー集団を唸らせている一方で、以前にはバイオハザード7が発売直後、即座にクラッキングされる事例も。
最強のコピーガード技術「Denuvo」が5日で破られ「バイオハザード7」の海賊版が登場
ゲームで一度海賊版が出回れば、もはやDenuvoの存在は無為と帰します。
一応、メーカーは一定期間内にクラックが行われた場合、Denuvoに払戻金を要求出来ると噂されています。
ですがそれらはあくまでメーカー側の都合。
違法コピーもチート/ハックも行っていない、善良なユーザーたちにとって何の得も無いのが最大の争点になっています。
バイオハザード3にDenuvoは必要なのか?

実はバイオハザード2:リメイクでもDenuvoが搭載されていたことはご存知でしょうか?
この機能はSteam版でリリースから1年後に削除され、今ではその名残を見ることはありません。
(バックグラウンド問題がやはり原因であったと言われている)
ともかくカプコンがバイオハザードシリーズに対してDenuvoを搭載することは恒例のようであり、次作にそれが適用されることはもはや自然なようです。
有意義になり得るとすれば、同梱される非対称マルチプレイのバイオハザード:レジスタンスへのアンチチート機能。
チーターとの遭遇は正規プレイヤーに大きな不快感を与えるため、チート対策として用いられるぶんには歓迎すべき事柄になり得ます。
最適化への不安

しかし直近では、モンスタハンター:アイスボーンでのCPU100%張り付き問題などが目につき、カプコン製ゲームのPC版への最適化不足が指摘されています。
リリース間もないゲームがパフォーマンスの問題を抱えるのはありふれた光景ではあるものの、一部ユーザーはDenuvoへ不信感を抱いていることから、この前情報が予約状況に影響を与える可能性も考えられます。
とはいえ大半のユーザーはこうしたサードパーティーが付与することを知らないのが実状。
リリース直後に阿鼻叫喚にならないことを、ただただ祈るのみです。
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